6月1~2日と佐渡でトキの野生復帰の準備に参加してきました。今回で3度目になります。
今回は佐渡東部の月布施地区というところで、トキが野生復帰した際のエサ場となる「ビオトープ」作りを行いました。エサ場もまだまだ足りないのが現状のようで、ボランティア活動が待たれるところです。
私は小学校5年生の時(1978年)に国語の教科書でニッポニア・ニッポンという学名のトキが絶滅の危機にあるという話を読んでトキのことを知りました。実際にはその3年後に最後の野生のトキが捕獲され、日本のトキはやがて絶滅します。現在は、中国から譲り受けたトキが佐渡の地でその子孫を増やしいよいよ来年、佐渡の大空に解き放たれることになりそうなのです。「自分にも何か出来そうだ」という、近い将来、手が届きそうな達成感を想像し、ただただ、お役に立ちたいとの思いからこの活動に参加するようになったのですが、トキが佐渡の空を再び飛翔するようになることの意味について最近ふと考えるのです。
現地の人とも話をする中で、ぼんやりとですが思うのはトキの野生復帰とは佐渡の島の地域コミュニティーの再生やそこに暮らす人々の生活とトキの生活が共存するものでなければならないということです。
実際、トキにとってはエサ場だけでなく、営巣のための松の林も林業に携わる人手不足などから手入れがなされることがなく適した状態になっていません。島の人口は減り、老齢化も進んでいるわけです。仮に来年トキが放たれ、佐渡に来島する観光客が増えても、トキだけを見に来てゴミを捨てたりするような反自然的な行動を取れば島は汚れて行き観光収入は増えても長期的には島にはマイナスでしょう。トキが最後まで生き続けた佐渡という島を外部の人間がもっと理解する努力をする必要があると思うのです。
トキの野生復帰はなかなか奥深い宿題を投げかけてくる気がするのです。
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